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への対応も含めかなり広範囲なものとなっているのが一般的のようである。他方、法律学の領域からも地方の主体性、自立性確立のために、特に近年政策法務の必要性が積極的に説かれるようになった影響もあって、都市法、都市法政策、白治体法などの講義科目が設けられるようになってきた。さらに、経済学、経営学、政治学の領域からは都市政策、自治経営論などの講義科目が見られる。
この領域においても、例えば、従来の行政学、行政法といった学問分野にとらわれず、より学際的なアプローチを目指そうとする傾向にあると同時に、政策科学との関連も深まるのである。

 

(3)政策科学領域の発展
日本のみならず国際的にも、環境問題、福祉問題、住宅問題、人口問題、エネルギー問題など多様な課題をかかえている。これらの諸問題は複雑に絡み合っているのであるが、なんらかの政策によって解決を目指さなければならないものである。欧米における政策科学研究の蓄積も反映して、日本では近年、経済学、行政学、政治学などの学問分野から、意思決定のプロセスの合理性に注目する「政策志向」に発展が見られるようになってきた。
例えば、行政学のテキストをみても、「行政現象の中核を選択活動ないし意思決定行動とみるという立場」から行政過程をとらえた村松岐夫編『行政学講義』(青林書院、1977年)、さらに各々のテキスト作成の意図は異なるものの近年発行された西尾勝『行政学』(有斐閣、1993年)、今村都南雄他『ホーンブック行政学』(北樹出版、1996年)にも政策過程が取り上げられているのである。また『ホーンブック行政学』で指摘されているように、「各レベルの政策の実体・過程・分析方法を扱う政策科学や政策研究とも密接に関連しており、その連携を通じてとくに公共経済学などとの競合、交流が強まってきている。行政学自体が学際的科学としての様相を色濃く帯びているフである」、こうして、行政学のみならず諸学問領域が参入する政策科学への関心は高まっているのである。
講義科目としては、政策科学、公共政策、公共計画、公共選択論などが見られる。また、政策過程論、政策立案論、政策評価論など政策のプロセス(決定、実施、評価)における個別の授業科目も興隆しつつあるのである。法律学の分野からの政治学、経済学などへの接近も見られ、法政策論、労働法政策論、環境法政策論などの法政策分野の輿隆も見られる。いずれも、政策科学の分野をめぐって、急速に学際化が進行しているのである。

 

 

 

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